連載 対応に迷うケースに出会ったら―それでもケアをしなければならない看護師のために①【新連載】
「倫理」は特別なことでしょうか?
中尾 久子
1
1九州大学医学部保健学科
pp.391-395
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100131
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
連載を始めるにあたって
看護師であるあなたにとって,倫理とはどのようなものでしょうか.
看護師は,日常的にさまざまな問題状況に直面し,常に何かを選択し行動しています.看護実践の場面では,「何か気になる」と感じても,ルチーンワーク,あるいは組織上の決まり事だと割り切って対処してしまう場合もあるでしょう.その一方で,何か気になり,もっと違う良い方法の可能性があると感じつつ,その時その場面で考えがまとめきれず,うまく表現することができないまま,場当たり的な対処を行なってしまい,後になって「あれでよかったのか」と振り返る場合も少なくないでしょう.
「気になる」と感じるのは,たとえば,食べられない,眠れない,制限が守れない患者への対応や,プライバシー保護と観察の必要性の矛盾などであり,日常のケアに潜む倫理的な問題の存在です.「何か気になる」看護師の多くは,問題になる状況の存在に気づいているのです.しかし,その状況があまりにも日常的なために,倫理的な問題と関連しているとは気づきにくいのかもしれません.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.