特別記事
看護専門職の特性を踏まえた倫理問題への対応に向けて
中尾 久子
1
1山口県立大学看護学部
pp.221-226
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100455
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,医療技術の発展,社会状況の変化,人々の人権意識の高まりに伴い,医療の場における看護職の倫理が問われてきている。医療チームの中で,看護職は患者の最も身近な存在であり,直接的ケアを行なう機会が多いことから,倫理問題を含んだ状況に多く直面し,さまざまな判断を行ない対処している。しかし,倫理問題について,全員が納得できる正解を見出せることは少なく,状況によって異なるその時々の対応や,慣例化・日常業務化している対処にジレンマを感じても,看護職は主体的な問題解決が図れないままに悩んできたと考えられる。
筆者はこれまで,医療の場でインフォームドコンセントの不足,医師のパターナリズムや効率性重視などの状況に関連して,患者の尊厳が損なわれているのではないかと感じる場面と,そこで悩む看護職に出会ってきた。身体的のみならず心理社会的にも危機状態にある患者への看護職の倫理問題に対する対処方法はさまざまである。それが解決に結びつく場合もあるが,悩んでも有効な対処方法を見出せずに,看護職自身が感受性を抑えてしまう場合や,辞職する場合もある。
本稿では,現場の看護職が感じる倫理的ジレンマを問題解決につなげ,サービスの質を向上させるために,看護管理者に何が求められているかを考えてみたい。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.