書評
「続 アメリカ医療の光と影―バースコントロール・終末期医療の倫理と患者の権利」―李 啓充 著
中尾 久子
1
1九州大学大学院・臨床看護学
pp.930
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101842
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アメリカは,貧富の格差が大きく貧者は十分な医療は受けられないと聞いていても,日本人のアメリカ医療に対するあこがれは強い。李氏は,京都大学医学部を卒業後,ハーバード大学医学部准教授を経て,現在はボストンで文筆業をしており,これまでも鋭い切り口でアメリカ医療の背景を解説し,日本の医療界に示唆に富むメッセージを発信し続けてきた。
本著は5部で構成されている。第1部は「医療倫理―延命治療の中止から小児の癌治療まで」,第2部「ピル―医療と性と政治」,第3部「転換期を迎えたアメリカの医療保険制度」,第4部「医事片々(医療よもやま話)」,第5部「『患者の権利』はどこまできたか」である。第1部から第3部までは人種,宗教,価値観が多様で医療保険制度や問題解決方法が異なるアメリカの医療のあり方に関する光と影が明快に述べられている。
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