Japanese
English
特集 形態形成の統合的理解
Ⅳ.多様な生物種に学ぶ
うじ虫の皮が体を形づくるしくみ
How the fly larval cuticle controls body shaping
田尻 怜子
1
Tajiri Reiko
1
1千葉大学大学院理学研究院生物学研究部門
キーワード:
細胞外基質
,
体型制御
,
クチクラ
,
ショウジョウバエ
Keyword:
細胞外基質
,
体型制御
,
クチクラ
,
ショウジョウバエ
pp.348-352
発行日 2022年8月15日
Published Date 2022/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201534
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生物の形がどうやってつくられるのかという問いに対して,従来の発生学では“体=細胞の集まり”という前提のもと,発生過程における細胞の振る舞い(細胞の変形,細胞分裂,細胞移動など)により組織がめまぐるしく変形していって最終形ができるしくみが示されてきた。しかし,生物の体の材料は細胞だけではない。ヒトの骸骨やセミの抜け殻には生きた細胞が存在しないにもかかわらず,われわれはそれぞれの生物の形をそこに見いだす。ということは,これらの生物の形を直接的に規定するのは細胞ではなく,骨や殻なのである。脊椎動物の骨も,昆虫の殻(クチクラ)も,いずれも細胞外に形成される基質である。こういった細胞外基質は生物の形づくりにどのように寄与するのだろうか? 本稿では,昆虫の形態形成に対するクチクラの寄与について,モデル生物であるショウジョウバエを用いた研究を紹介する。
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