新連載 糖尿病advanced care―合併症を持つ人へのアプローチ①
どこでも糖尿病患者さんに遭遇する時代のアドバンスドケア―「看護職者の教育的関わりモデル」を使ったケア……
河口 てる子
1
,
患者教育研究会
1日本赤十字看護大学
pp.68-72
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100010
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
糖尿病が増加し,成人10人に1人から6人に1人の有病率になった.欧米人に比較し,肥満がさほどひどくなくても糖尿病になりやすいアジア人の体質と,豊かな食生活や活動量の低下がもたらした結果であることは,専門家の間でよく知られている.その糖尿病患者数の増加と混合病棟化が相まって,どの病棟でも糖尿病を基礎疾患に持つ患者の入院が増えている.
入院期間の短縮化は,単一の疾患だけでも指導を困難にしているが,他疾患で入院した患者に糖尿病療養の必要性,自己管理の必要性を理解してもらうのは至難の業である.特に,心筋梗塞や白内障の治療を目的に入院した患者は,糖尿病の自覚症状もなく自分が糖尿病であるという自覚がないため,糖尿病の自己管理をしなくてはいけないということが理解できないでいる.糖尿病の教育入院などのように,糖尿病の自己管理方法を学ぶという目的で入院しているのであれば,単に糖尿病教室に出席してもらうといった方法であっても教育効果を期待できるが,他の疾患の治療が目的である場合,教育効果は疑問である.
このように,どの病棟でも糖尿病患者に遭遇するようになった現在では,糖尿病の自覚のない患者に指導するという一歩進んだアドバンスケアが,特別なケアとしてではなく,日常的に必要になっている.そこで本連載では,アドバンスな糖尿病教育とは何かから始めよう.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.