連載 ケアと現代・9
日本的なセルフケア
平野 かよ子
1
,
佐藤 俊一
2
,
岸 良範
3
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
2鹿児島経済大学社会福祉学科
3埼玉医科大学短期大学
pp.782-786
発行日 1992年9月25日
Published Date 1992/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903304
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これまで2回にわたって見てきた,「ほめること」「満足すること」などの援助者の気持ちにかかわることは,日本人のケア観とも関連している。もともと,われわれの文化の中では,他者をほめるのは照れくさいことであり,「察する」ということが言われてきた。また,他者の前で自分の満足など気持ちを表現するのは,奥ゆかしくないことであるとも言われる。つまり,日本人の人間関係においては,個々の自立という以前に,個人は他者とのつながりの中におり,それを維持することの方が大切とされてきた。
ケアも,当然この相互に気配りを行なう,つながりの文化の中で実践されている。この,配慮しあう日本人のあり方を活かしながら,われわれのケア観を,特に最近話題となることが多いセルフケアの問題から考えてみたい。
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