連載 ケアと現代・4
日常性に「生きる」こと
平野 かよ子
1
,
佐藤 俊一
2
,
岸 良範
3
1日本赤十字看護大学・公衆衛生看護学
2東京白十字病院医事課
3埼玉医科大学短期大学
pp.344-347
発行日 1992年4月25日
Published Date 1992/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900554
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今回から「日常性とケア」という問題に焦点を当てながら,ケアをすること,されることのダイナミズムについて3回にわたって考えてみたい。
まず,われわれにとってあたりまえのことであり,誰もがわかったつもりでいる日常性とは,われわれの生にどんな意味をもっているのかを問いかけてみたい。通常われわれが仕事をしたり,社会的行動をしたりする際に,ごく自然にできるのは,われわれの日常性に支えられており,具体的な行動において体験的に確認されているからなのである。そうした背景におかれている日常性は,社会生活のシャドウとなっており,普段それをそのまま捉え直すという作業をしていないのが現代人のごく普通の姿である。ここでは,ケアと日常性の問題にアプローチするために,そうした日常性のわれわれにとってもつ意味を,あるがままに問いかけてみたい。
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