連載 とらうべ
ガザの悲しみ
小田切 拓
pp.971
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902994
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「なぜ,本当のことが伝えられないのだろう?」常々感じていた疑問の答えを探すため,パレスチナ人自治区・ガザの取材を始めた。現在は,テレビディレクターをしていた経験を生かし,難民キャンプの日常を撮影している。
ガザは,沖縄によく似ている。イスラエルによって土地を奪われたパレスチナ人が暮らす自治区の内部には,あちこちにイスラエル軍の拠点がある。そこから連日,パレスチナ側へ攻撃が加えられているのだ。本来,危険の芽などほとんど存在しないはずのパレスチナ入居住区で,惨劇が繰り返される構図のなかに,意図的に作り上げらた“紛争”が見え隠れする。無機質な数字や当局発表の引用では伝えきれない痛みが,ガザには溢れている。
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