連載 生殖補助医療—“技術”がもたらした現実と未来・4
長期不妊,妊娠不成立時の心理カウンセリングから見えるもの
赤城 恵子
pp.1044-1049
発行日 2002年12月25日
Published Date 2002/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903007
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はじめに
生殖補助医療の発展は,かつては望むべくもなかった人びとにも子どものいる人生を実現させてきました。医療者への感謝の手紙をしたため,「わが児」の写真を同封してくる人も多いと聞きます。そのような面が生殖補助医療の“光”とするならば,私が相談の場で向き合っている当事者の苦しみは,いわばその“影”の一面といえるでしょう。
私はいま「東京都不妊ホットライン」*における相談のほか,独自に開いている心理カウンセリングに携っています。そこを訪れる人のほとんどは,長年の通院にもかかわらず,結果を得られずにいる女性たちです。うつ状態やパニック症状が見られることも多く,カウンセリングの場から見た不妊の現状は深刻なものがあります。
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