今月のニュース診断
「胎児条項」導入の是非をめぐって
斎藤 有紀子
1
1明治大学法学部
pp.360-361
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901698
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優生保護法改正の意味
昨年6月,優生保護法が「母体保護法」となり,その文言から「優生」の文字が消えた。精神障害をもつ人に対し,本人の意思によらない優生手術(不妊手術)を認めるなど,48年にわたり「不良な子孫の出生予防」を目的としていた法律が,ようやく改正されたのである。
優生保護法はしばしば「戦前日本の国民優生法の精神を継承しており,ナチスの優生思想を色濃く反映したもの」と評される。しかし最近の研究によれば,戦後の一時期,優生保護法の下でなされた「本人意思によらない優生手術」は,国民優生法下の10倍に上っていたことが分かっている(江原由美子編,生殖技術とジェンダー,勁草書房,1996)。
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