連載 感染症 Up to Date・42
老人の多い施設でのインフルエンザ予防—予防接種の導入の是非について
渡辺 修一郎
1
1東京都老人総合研究所地域保健部門
pp.264-265
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901954
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はじめに
インフルエンザは,かぜに比べ症状が重く全身症状が顕著で,高齢者がかかると肺炎を併発したり,基礎疾患を増悪させたりして重篤になりやすい。また,潜伏期間が短く感染力が強く,感染すると発病する割合が高いため,集団単位で流行する傾向がある。
近年わが国では,少子高齢化,核家族化,女性の社会進出に伴い,家族による介護力が低下し施設入所老人が急増しているが,高齢者が集団生活を営む老人施設などではインフルエンザの流行により大きな被害を受けることが少なくない。
筆者らの調査では1996/1997シーズンには,特別養護老人ホームのうち36%の施設で,インフルエンザ様疾患の発生をみている(図1)。今回は,老人の多い施設でのインフルエンザ予防対策のあり方について考えてみる。
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