連載 りれー随筆・152
自分らしく生きる—ハートを熱くする仕事をとおして
鈴木 知代
1
1JR東京総合病院産婦人科
pp.438-439
発行日 1997年5月25日
Published Date 1997/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901712
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人の命の重み
私はまだ,病院勤務2年目の助産婦です。お産の時には母子の命を守る責任を感じて,今だに心臓がドキドキします。お産の経過は人によって違うので,マニュアル化できない分,自分の判断力が問われるため一層緊張が増します。助産婦学校で学んだ勉強だけでは足りないことが多く,先輩助産婦の知識と経験に富んだ指導・助言によって得たことがたくさんありました。
出産時,女性が正気を失うくらいの激しい陣痛を乗り越える姿や,胎児が狭い産道を通るときに苦しくて児心音が下がっても,母の深呼吸と自分の生命力とで児心音が回復する様子を見てきました。人の命の重みや尊さを感じたり考えざるを得ない状況の中で,助産婦として仕事をする者は“好きである。熱くなれる”という条件を持つ人であるべきではないかと思います。それは,母子の命を預かるという責任と人生における大イベントに関わるという点から言えると思います。
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