Medical Scope
母体搬送maternal transportの重要性〔4〕
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.970
発行日 1983年11月25日
Published Date 1983/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206348
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低出生体重児の予後はmaternal transportのほうがよいという事実は,これまでの説明でよく理解されたことでしょう。では,もう少しみかたをかえて考えてみるとどんなことがわかってくるのでしょうか。アラバマ州では1975年から1977年にいたる間のNICUに入室した新生児の人工換気療法,すなわち人工呼吸器(レスピレーター)を使うような処置を行なった頻度を統計で出してみました。すると,表8のようにCPAPやIPPVといった人工換気療法を行なった症例は有意の差でneonatal transportに多く,maternal transportの新生児に少ないことがわかりました。これはmaternal transportのベビーのほうが死亡率が少ないのみならず,人工換気を必要とする疾患に罹患する割合,すなわち,罹病率も低いということを示している大変重要なポイントです。低出生体重児は合併症を起こさなければよく育つといわれている通りの成績だといえます。
また,カリフォルニア州の成績ではNICUに収容された同じような条件の131例ずつを比較してみると,maternal transportの新生児のほうが有意に生存児の入院期間が短いことを表9が示しています。つまり,これも合併症を起こす率が少ないから入院期間も短くてすむという結果になるのでしょう。
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