特別寄稿
出生前診断を希望しなかった母親たち—医療者が知っておくべき心理的側面
又吉 國雄
1
1東京医科大学霞ヶ浦病院産婦人科
pp.150-154
発行日 1993年2月25日
Published Date 1993/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900746
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はじめに
出生前診断(prenatal diagnosis)の知識の普及に伴い,検査を希望する妊婦は増加の一途をたどっている。出生前診断の方法としては,羊水穿刺(amniocentesis)や臍帯穿刺(cordcentesis),絨毛採取(chorionic villus sampling,CVS)等があり1),筆者も長期にわたり遺伝相談(genetic counseling)の一環としてこれらに携わってきた。出生前診断の方法では,安全性と診断技術の向上から羊水穿刺が一般的であり,1991年の全国統計をみても,約90%(3834例中3328例)は羊水検査で診断が行なわれている2)。
ところが近年,高齢出産の妊婦や,前回染色体異常児出産を経験した妊婦であっても,出生前診断(羊水検査)をせずに出産に臨みたいという妊婦もしだいに増えつつある。
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