特集 数値からみる周産期医療 産科編
出生前遺伝学的検査で知っておくべき数字
関沢 明彦
1
SEKIZAWA Akihiko
1
1昭和大学医学部産婦人科学講座
pp.1163-1166
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001036
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はじめに
妊娠管理の目標は,妊娠が安全に経過し分娩に至ることであるが,同時に児の健康の向上や,適切な養育環境の提供でもあり,出生前遺伝学的検査もこのような基本的理念のもとで行われている1)。しかし,出生前遺伝学的検査には医学的課題に加え,倫理的・法的・社会的課題(ethical, legal and social issues:ELSI)があることから,一定の配慮のもとで検査を行う必要がある。そこで,その実施体制については,「厚生科学審議会科学技術部会NIPT等の出生前検査に関する専門委員会(以下,専門委員会)」において審議され,その結果は専門委員会報告書として公表された2)。報告書のなかには,『出生前遺伝学的検査の目的について,胎児の状況を把握し,将来の予測をたて,妊婦およびそのパートナーの家族形成の在り方などに係わる意思決定の支援を行うこと』と記載されている。さらに,妊婦に対する出生前遺伝学的検査の情報提供については,『妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として,妊婦およびそのパートナーが正しい情報の提供を受け,適切な支援を得ながら意思決定を行っていくことができるよう,妊娠の初期段階において妊婦などへ誘導とならない形で,出生前検査に関する情報提供を行うことが重要である』と記載されており,正確な情報提供のためにも,出生前遺伝学的検査に関連するデータを正確に理解することが求められている。
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