MEDICAL SCOPE
胎児性ファイブロネクチン
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.881
発行日 1992年10月25日
Published Date 1992/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900674
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前期破水や早産においては細菌感染が大きな原因として考えられ,さらに,その細菌感染の原因として性生活や男性の精液が関与しているということは,すでに何回もお話ししたことなので皆さんの頭のなかにもその知識がまだ残っていることでしょう。そして,最近では早産期のPROM(premature of the membranes,前期破水)がどんなメカニズムでおこってくるのかが,かなり科学的に解明されてきました。
PROMをおこした症例,あるいは切迫早産であってもやがてはPROMをおこして早産となってしまうような症例では,頸管粘液のなかに顆粒球エラスターゼという酵素が非常に多く含まれていることは以前にお話ししました。この顆粒球エラスターゼは,細菌感染した内子宮口近くの卵膜に進入し,卵膜の線維を破壊して卵膜の厚さをだんだん薄くして,ついには破たんさせてしまいます。つまり,PROMがおこるのです。したがって,切迫早産で治療中の症例では子宮頸管粘液中の顆粒球エラスターゼの値を検査して,PROMをおこすかどうか,早産に至ってしまうかどうかを予測することも可能になったのです。
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