Medical Scope
癌胎児性ファイブロネクチンと分娩開始,および分娩誘発について
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.537
発行日 1997年6月25日
Published Date 1997/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901733
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癌胎児性ファイブロネクチンという言葉は,最近になってずいぶん産科周産期医学に登場してくるようになりました。はじめは胎児性の癌や,その他の悪性腫瘍マーカーとして研究されてきたのですが,胎盤の絨毛細胞から分泌される炎症性の反応物質であるということがわかってくると,早産を含めた分娩現象との関わり合いがいろいろと取りざたされるようになりました。
皆さんもよくご存知のように,早産は子宮頸管から波及した炎症のために起こった絨毛羊膜炎の結果であるといわれています。多くは膣からの細菌感染が主な原因です。絨毛羊膜炎が起こると絨毛細胞からは癌胎児性ファイブロネクチンが分泌され,子宮頸管内容からこれを検出することもできるようになりました。そして多量に検出されれば破水,PROMの診断にもなるし,絨毛羊膜炎が起こっているという診断にもなり,早産,切迫早産の管理になくてはならない検査法になってきました。ロムチエックという検査法が一般に広く使われています。
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