MEDICAL SCOPE
分娩中の胎児監視と脳性麻痺
島田 信宏
1
1北里大学病院産婦人科
pp.700
発行日 1992年8月25日
Published Date 1992/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900638
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分娩中の胎児監視については,聴診器による間欠的な監視の時代から,胎児心拍数モニタリングによる持続的監視の時代へと移ってきたのは,皆さんもよくご存知の事実です。いろんな形で,これらの分娩監視についての検討成績は報告されていますが,1990年代の胎児監視の実際はどうあるべきなのか……についての総括的コメントといった内容が,第1回国際周産期学会の席上,南カリフォルニア大学のR.PAUL教授によって講演されました。
まず,南カリフォルニア大学における,5年毎に区切った過去20年間にわたる臨床成績では,持続的胎児監視を受けていた群では胎児死亡は1000例に1例の割合でしたが,受けなかった群では1000例中14例あったということです。これをみると持続的な胎児監視は胎児死亡を減少させるのに有益であるということを示しています。非常に膨大な症例のデータで,おそらく,この研究は世界最大規模のものでしょう。持続的胎児監視はまた,その妊婦がローリスクにあるのか,ハイリスクにあるのかを区別するにはよい方法で,ことに超音波断層法を加えて羊水量をチェックしたり,音響刺激を加えて実施すれば,その精度はさらに向上することもわかりました。
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