特集 現代医学・生物学の仮説・学説
7.疾病
エイズウイルスのセカンドレセプター
星野 洪郎
1
1群馬大学医学部衛生学教室
pp.608-609
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900663
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概説
エイズウイルス(ヒト免疫不全ウイルス,Human immunodeficiency virus:HIV)には1型と2型(HIV-1とHIV-2)がある。細胞表面にあるHIVのおもなレセプターはCD4抗原であり,CD4抗原はTリンパ球,マクロファージなどに発現されている。また脳のミクログリアや,肝のKupfer細胞,皮膚のLangerhans細胞,胎盤のSyncytia trophoblast,巨核球,脳由来の線維芽細胞や胎児肺由来の線維芽細胞などにCD4抗原が発現されている。しかし,これらの細胞のHIV(とくにHIV-1)に対する感受性には,大きな差がみられることがある。HIV-1が細胞に吸着し侵入する過程には,CD4抗原以外の別の因子の存在が必須である。この因子違いがHIVの感染性や細胞の感受性を規定する可能性が考えられる。
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