MEDICAL SCOPE
皮膚生検による胎児の出生前診断
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.439
発行日 1992年5月25日
Published Date 1992/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900579
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胎児診断,いわゆる出生前診断には,羊水分析,胎児血診断などが私たちの間ではおもに用いられている方法ですが,ほとんど知られていない手技に,胎児の皮膚生検による先天性の皮膚疾患の出生前診断があります。この胎児の皮膚生検という方法は,私たちの間ではあまり聞いたことのないような技術なのですが,実はその歴史は古く,アメリカではもう10年以上も前から行なわれていたのです。
一般の皮膚科学とは違って,小児専門の皮膚科学,すなわち小児皮膚科学という学問があることは皆さんも知っていることでしょう。この小児皮膚科学のなかには,胎児・新生児の皮膚の専門家が数多くおられて,それらの先生方の間では胎児の皮膚の一部をバイオプシーでとってきて,多くの先天性皮膚疾患を出生前に診断するということがもう10年間も実施されていたのです。ワシントン大学のホルブルック教授はこの方面では世界的に有名な方で,第15回日本小児皮膚科学会でこの研究成果を特別講演でお話してくださいました。
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