今月の主題 フローサイトメトリー
臨床・研究への応用
胎児の出生前遺伝子診断
末岡 浩
1
Kou SUEOKA
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
キーワード:
出生前診断
,
着床前診断
,
母体血中胎児細胞診断
Keyword:
出生前診断
,
着床前診断
,
母体血中胎児細胞診断
pp.965-969
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101309
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出生前診断は胎児の情報を知ることで,その病態を把握する.きたるべき分娩後の胎児の成育環境整備のために行う技術であるがフローサイトメトリーが臨床的用途を前提とする出生前診断の新たな選択肢を開拓している.
母体血に混入している胎児由来細胞を特異的に選別し,胎児の情報を知るための材料とするために用いられる.
母体血法細胞中に混在する胎児由来の有核細胞の比率は極めて少ないため混入した単一の胎児細胞をPCRによる遺伝子増幅で診断をした場合,精度,再現性についてはなお問題が残存している.
フローサイトメトリーを用いて,細胞のサイズや核の染色による分離,細胞膜表面の特異抗原に対するモノクローナル抗体などを用いて複数のパラメーターから標的とする細胞をソーティングし,PCRによる診断効率は向上させることができる.
フローカリオタイピングといわれる染色体分析,Fanconi貧血の出生前診断,G2期の集積性,フローサイトメトリーで分析する方法などが報告されている.
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