特集 受持ち制母子看護
なぜ,受持ち制母子看護なのか
西村 晶子
1
,
石井 孝子
2
1東京厚生年金病院産科
2慶応義塾大学病院産科新生児室
pp.890-896
発行日 1989年11月25日
Published Date 1989/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207720
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はじめに
母子保健にも大きな変化をもたらした20世紀も残り少なくなってきている。私たち助産婦の役割にもかかわることの多い,母と子の健康という観点からこの時代をふり返ってみると,実にさまざまな変革があり,民間と行政府の働きかけの中で,わが国の乳児死亡率は昭和62年5.0(出生1000対)と,世界に類のない最高水準に達している。しかし,この数字を喜んでばかりはいられない状況が現代の私たちを取りまいている。たとえば社会情勢の変化が家族にもたらしたマイナス面は,社会の中で一番弱い立場にある"母子"と"老人"にしわ寄せが来ている事実から容易にみてとれる。
そこで現在,社会の核となる母子に対して,助産婦がどのような働きかけを行なえるのかは重要な課題である。たとえば,核家族化の進行と共に,良き援助者を得にくい孤立した妊産婦は,新聞,ラジオ,テレビ,雑誌等のマスコミに助言者役を求め,自己の問題解決を図ろうとしている。こうした妊産婦への援助をどう行なうのか。
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