連載 話の聴ける助産婦になるために・4
カウンセリングによる心の理解
生命ストレス
大須賀 克己
1
1日本グロースセンター カウンセリング研究所
pp.574-577
発行日 1988年7月25日
Published Date 1988/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207422
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不安を増幅しているもの
出産間近い妊婦の心理は実に複雑です。未来に対する期待と喜びがあると同時に,出産や未知なる子供を持つことへの不安もあるからです。それを受容できるか否かにかかわらず,出産という事実が迫ってきます。その妊婦の単なる不安以上の理解し難い心理構造を深く了解できる助産婦の感受性は大きな役割を果たします。少なくとも妊婦の不安は,ただ妊娠しているという状態からのみ引き起こされたものでないことに注意してほしいのです。
人は誰でも過去の長い間家族の中で育ち,両親の教育を受けてきます。時にはそれが親から子への押しつけになったり,子供の存在を無視する結果になることもあります。このような生育歴を経ながら,人はある倫理感を形成していきます。そして他人に対する見方,怖れ,対応の仕方などを学んでいくのですが,それは同時にその人の不安や喜びの基礎を形成していきます。
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