Japanese
English
シンポジウム ストレスと精神生物学―新しい診断法を目指して
ストレスと脳―ストレスで脳や心が病むとき
Brain mechanisms of PTSD and Depression
松尾 幸治
1,2
Kouji MATSUO
1,2
1現・山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学分野
2旧・東京大学大学院医学系研究科精神医学分野
1Department of Neuropsychiatry, Yamaguchi University Graduate School of Medicine, Ube, Japan
2Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
PTSD
,
Depression
,
Neuroimaging
,
NIRS
,
MRI
Keyword:
PTSD
,
Depression
,
Neuroimaging
,
NIRS
,
MRI
pp.1151-1158
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101104
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はじめに
ストレスという言葉は日常でどこでも使われている言葉である。「ストレスがたまった」とか「この仕事はストレスだ」とか日々使われている。ストレスの辞書的意味では,「《生体にひずみの生じた状態の意》寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応。また,その要因となる刺激や状況」(大辞泉)となるが,日常ではショックというより,さらに弱いものも含めて使っているようである。
精神科の日々の診療現場でも同様に,「ストレスを受けて病気になった」とか「ストレスで状態が悪化した」とか,病気の引き金となる出来事およびそのときの精神的影響を総称して,ストレスという言葉を使用する場合がある。精神的ストレスはあらゆる精神疾患の引き金や増悪因子となり得る。精神的ストレスは強烈な出来事として体験されるものと日常的な弱いが持続的なものがある。多くの精神疾患の中で,大雑把にいって,前者のストレスと関係している代表的疾患としてPTSDがあり,後者と関連していてかつ特に罹患率の高い疾患としてうつ病がある。
「ストレスで脳や心が病むとき」をテーマに,今回はこの2つの疾患の脳異常について検討していく。脳の異常を探るひとつのアプローチとして今回は脳画像研究を取り上げる。PTSDとうつ病の脳画像研究に関して自験例を中心に最近の知見を紹介し,ストレスと脳の関連について考察したい。
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