特集 主体的な出産
主体的な出産を実践する人々に助産婦としてかかわる
鈴木 美哉子
1
1マルオト助産所
pp.381-386
発行日 1987年5月25日
Published Date 1987/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207129
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立ち産との出会い
私が立ち産を知ったのは「助産婦雑誌」の1983年4月号(37巻4号)の特集「いま分娩を考える—立ち産へのトライアル」を読んだのがきっかけであった。その当時から,座産—それも,座産用の分娩椅子での分娩,側臥位分娩などの試みはいろいろな雑誌などでみかけていた。しかし,仰臥位分娩よりは,産婦にとって良い産み方だなとは思えても,いわゆる分娩椅子のない一助産所では実行することは不可能だった。その点,立ち産は,それこそ,清潔なシーツと一畳ほどのスペースと臍帯結紮糸と臍帯剪刀があればよいのである。そして,産む人と後ろから支える人と赤ちゃんが産み落とされるのを受けとる人とがいればよいのである。
助産婦学校卒業と同時に,母が一人でやっていた助産所で一緒に仕事をすることになった私は,ラマーズ法に強い関心と魅力を感じた。分娩数が少ないだけに一人一人の妊婦を大切にし,しっかり呼吸法などを教えた。分娩には,経験豊かな母と二人で必ず立ち合うことにしているが,会陰裂傷もほとんどみられず,産婦の身体の回復も早いせいか,母乳分泌も良くて,100%母乳で退院している。
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