連載 母乳育児Q&A
Q 母乳の出にくい人への対応策は
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.259
発行日 1987年3月25日
Published Date 1987/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207097
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A 母乳育児をすすめる立場として,最も解決を求められるのが,母乳が出なくて困るという問題ではないかと思います。
そこで,まず母乳の出の悪い場合,すなわち,乳汁分泌不全について,考えてみましょう。一口に乳汁分泌不全といいますが,対応しても不可能な真性分泌不全と,対応いかんによっては,十分母乳を出しうる仮性分泌不全とに大きく分けられます。しかし,現実には真性のものはほとんど見られず,ほとんどが仮性に入るものと考えられます。なぜならば,妊娠中からの乳房管理体制が充実してきた現在,当施設においても最近の200余例の1か月健診時の完全母乳率は99%を超えているからです。このことから考えて,対応さえ十分になされれば,ほとんどの人が母乳だけで育児を行なっていくことが可能だといえるでしょう。
ではここで,仮性分泌不全,なかでも,乳房管理の不備について述べようと思います。乳房管理については,少しずつ触れてきましたが,要は,指導者側,そして母親側がいかに熱心になるかといえるかと思います。
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