連載 Medical Scope
妊産褥婦の栄養
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.222
発行日 1975年4月25日
Published Date 1975/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204844
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女性は非妊時よりも,妊娠している時,あるいは産褥での授乳期には栄養をよくしなくてはいけないと常にいわれています。そして,助産婦である諸君も毎日の仕事のなかで,妊産褥婦の保健指導の一内容として栄養について,食事について語っていることと思います。しかし,今日の日本人の基準はどのくらいか,いったい妊婦は非妊時にくらべてどのようにしたらよいのか,どのくらい多くのカロリーが必要なのかを正確に答えられる人は少ないのではないかと考えているのは私ひとりでしょうか。今月はこんな話題を調べてみることにしました。
WHOでは,20歳代の女子のエネルギー所要量は1日2,200カロリーとしています。しかし,日本産婦人科学会内での栄養を担当している栄養委員会では,これより10%低い2,000カロリーとしています。女性は妊娠すると,胎児や胎盤の発育のために,また,血液の増加のために,さらに,脂肪の蓄積のために非妊時より多くのエネルギーが必要になりますので,1日2,000カロリー以上に付加必要量を加えたカロリー数が要求されてきます。その数値は,妊娠前半期には1日150カロリー,後半期には350カロリー,授乳期には800カロリーを付加必要量とし,基本量の1日2,000カロリーに加えた数値を1日のエネルギー必要量とします。
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