連載 教育評価のはなし
研究のすすめ方(4)—質問紙作成の方法について
岸学
1
1東京学芸大学
pp.1157
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207038
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看護関係の研究では,事例研究が大半であろうと思いますが,質問紙による調査研究や実験研究も数多くみられます。学生に対する研究指導においても,質間紙法による研究にしばしば出会います。
質問紙法は,調査したい内容について質問紙を作成し,それを配布・回収し,結果を集計して傾向を見出せばよい,との考えで,簡単にできそうな印象を与えるようです。その結果,残念なことに,安易に研究をスタートしてしまい,あとで苦労するケースが多くなります。質問紙などによる調査研究では,何をどのように質問するのかについて,実施前に十分検討しなければなりません。この「十分」は真に「十分」であって,大規模な調査の場合,やり直しがきかないことが大半ですし,質問紙の作り方によっては,回収率が低い,回答に空欄が多い,誤った記入をしているなどの事態が生じます。また,集計したところ,全員が同じ回答をしていたり,大部分が「その他」の欄に記入していたりなどの例もあります。これらはすべて事前の検討が十分でなかったために生じたもので,せっかくのデータが無駄になってしまいます。
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