連載 おとめ山産話
師走の閑話
尾島 信夫
1
1聖母女子短期大学
pp.1156
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207037
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平素は落ちついている先生さえ駆けてまわるという忙しい12月に,閑話というのは皮肉のようだが,大多忙のあとの大晦日の晩,華やかな紅白歌合戦が終って,ゴーンと除夜の鐘が鳴り始めると,ほっとしてなぜか平素の煩悩を追いはらい静かに自分の生きざまを反省する殊勝な気持ちになるものである。
そんな気分を思い浮かべながら,昨年9月から始めたこの産話の題目をふりかえってみると,なんだかドギツイ理屈や主張が並んでいて,おとめ山に腰をおろして,百八の鐘を聴いてしみじみと人生を語るというようなテーマのなかったことは,私の未熟のためでいたし方ないとして,せめて今月だけは老成を志向する熟年らしい話にしたいと思う。
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