連載 医療ソーシャルワーカーの相談窓口から
家庭生活の危機を孕んだ妊娠
田戸 静
1
1葛飾赤十字産院医療社会事業部
pp.634
発行日 1986年7月25日
Published Date 1986/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206925
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"10代の性"について,その善悪こもごもが社会問題としてクローズアップされ,10代をとり囲む社会生活上の出来事,とりわけ環境を含めた対人関係の様相を究明する必要性が指摘されている。医療ソーシャルワーカーに紹介されてくる10代の妊娠例をみても,事の重大さを痛感せざるを得ない。それと言うのも,10人中8,9人が,妊娠を知ったときから,"妊娠イコール中絶"の考えに支配され,「未成年だから,赤ちゃんを産んでも育てられない」と合理化し,中絶するのは当然といった態度を示すからである。
そのような現象の表舞台には,往々にして家庭生活からはみ出した男と女が登場してくる。そして2人の行為がそれぞれの家庭に深刻な危機状況をもたらす。最近とくに目立つのが,中年男性と10代の女性との間の妊娠をめぐる問題だ。
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