特集 家族計画
生活保護家庭の家族計画について
丹下坂 宇良
1
1社団法人家庭生活研究会
pp.37-39
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201812
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近時 我が国の家族計画運動も漸く普及への段階になりましたが,識者が憂える如く逆淘汰になつたり,又民衆から離れた指導者の運動になつたのではなく,一般上流家庭婦人から盛り上り,それが下層の主婦にも手を差しのべ,それ等の主婦達が喜び乍らこの運動に参加するというような空気になりつつあることは大変よい傾向だと思います。
人と生れて誰も子供を欲しくない者はないと同じように「思うようなら子3人」という言葉のように,出来のよい子供3人位でよいと一応誰でも望んで居たことではあつたが,それがなかなか思うように出来ないので授りものなどという言葉も出来たと思う。上流の家庭では婦人に相当の暇もあつたから苦労して大勢の子供を育てることはないと考えるようになつて来て居たので,家族計画などという言葉のない内に曲りなりにも多少の計画を持つて居たが,下層になるにつれて二大本能の「食」の方にばかり追われて「性」のことなど研究する暇がないというのが実情で「妻は夫へサービスをすればよいのだ」という考え方も下層程強い因習になつて残つて居るので庶民への徹底には時間を要したと思います。
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