連載 教育評価のはなし
相関関係を考える—その2 相関係数のみかた
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.180
発行日 1986年2月25日
Published Date 1986/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206826
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前回は,相関関係のあらわしかたについて簡単に説明しました。今回は,相関係数を読みとる際の注意についてお話ししましょう。
相関係数は,データの間の関係を適切に表現することができます。しかし,あまりにも簡潔に関係を表現してしまうので,その意味を過大評価してしまったり,重大な情報を見落してしまうおそれも多分にあります。たとえば図1を見てみましょう。xとyとの間でピアソンの相関係数を求めると0.107です。2つの変数の間には関係があるとはいえないようです。ところが,どうみても右下のデータは他と離れており,異質な感じがします。実験結果であれば,このデータを得たときに何か特別なことはなかったか,実験装置は正しく動いていたか,あるいは,テスト成績では,記入上の勘違いはなかったか,採点違いはどうか,さらには,本人の体調の問題はどうかなど,いろいろな原因を考える必要のあるデータです。このデータを除いて係数を求めると0.908となり,0.107とは全く異なった結論,すなわち2つの変数には強い関係を予想させる,となります。
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