特集 分娩後2時間:母体と新生児のケア
分娩から2時間:母児に生じるさまざまな変化
安水 洸彦
1
1山梨医科大学産婦人科学教室
pp.856-863
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206740
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はじめに
児娩出後からの2時間は,産科臨床スタッフにとって,まことにあわただしく過ぎていく。さまざまなルチーンの処置・計測などに追われるため,病的変化はともかく,生理的変化の観察を行なう余裕のないのが実情であろう。もちろん,ルチーンの処置や計測は,すべてこの生理的変化を念頭に置いて定められているので,たいがいの異常事態は計測・処置時にチェックできるしくみにはなっている。とは言え,大多数の分娩例では母児とも健康であるから,ともすればにのルチーンの処置・計測が単なる手続きと化して儀式化される傾向が生じ,その基礎にある母児の生理的状態の把握がおろそかになりがちである。
しかし,母児とくに児の体内では,この2時間という人生にとっては全く瞬時の間に,一生を左右する劇的な変化が生じている。本稿ではこの劇的変化のうち,いくつかの具体例をとり上げ,解説したい。
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