特集 分娩後2時間:母体と新生児のケア
女性から母性への援助—分娩第4期を中心に
野村 紀子
1
1北里大学病院母性・小児系看護科
pp.864-869
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206741
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はじめに
分娩第4期は,特に出血を起こしやすく,他の一般状態も変化しやすい時期である。そのため,助産婦は,母体の身体的状況に目を奪われがちとなる。しかし,いま終えた分娩によって母と子は分離したのである。母子関係は,母と子の分離によってのみ成立するものではなく,母と子の相互関係によって成立するものである。
多くの婦人は,妊娠を自覚したときから,母親になることを受容してはいるだろう。しかし,分娩第2期における母と子の分離により,母親は,単に母親としての自覚をもつだけにとどまらず,その現実を認識し,受容することを迫られる。したがって,分娩第4期は,母体の身体面への援助と合わせて,これからの親子関係の発達を促すための援助を必要とする時期でもある。
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