特集 これでマスター! 最新 産婦人科ホルモン療法
第1章 総論
14 妊娠・分娩に伴う母児の内分泌動態
石本 人士
1
1東海大学医学部専門診療学系産婦人科学領域
pp.90-97
発行日 2024年3月25日
Published Date 2024/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000637
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POINT
妊娠の進行に伴い,胎盤で大量のプロゲステロン(progesterone:P4)とエストロゲン(estrogen:E)が産生される.
胎盤のエストロゲン産生では,胎児と母体に由来する副腎性アンドロゲンを前駆体として利用する.
胎盤由来のホルモンなどにより母体のインスリン抵抗性増大が生じ,胎盤を通じて胎児に移行するブドウ糖が増加し胎児発育に役立つ.しかしこの変化は妊娠糖尿病発症や糖尿病病態悪化の背景ともなる.
母体の内分泌環境の変化が胎児に直接影響しないよう,胎盤にはバリア機能が備わっている.
胎児の甲状腺がホルモン産生を開始するのは妊娠中期以降であるため,妊娠初期の胎児神経系発達は,母体由来の甲状腺ホルモンに依存している.
ヒトでは機能的P4減少(作用の減少)が分娩(陣痛)発来に関与していると考えられる.
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