連載 産科臨床検査の実際・7
胎児—胎盤系機能検査
石井 明治
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.561-564
発行日 1985年7月25日
Published Date 1985/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206677
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胎盤は,妊娠の維持と胎児発育のための物質輸送と代謝をつかさどっており,胎盤から栄養を補給されている胎児は,胎盤と1つのユニットとして膀帯血行を介して循環系を保持している.
1927年,アッシュハイム・ツォンデックがヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を発兄して以来,妊婦の血清および尿中には,胎盤を中心として妊娠と深く関わりのあるホルモンの存在することが明らかになり,これらのホルモンは胎児—胎盤系機能検査として利用されている.たとえば,胎児の発育に伴い母体血中および尿中に増加するエストリオール(E3)は,胎児副腎で産生されたデヒドロエピアンドロステロン(DHA)が,胎児肝で16-α-OHDHAに変換され,さらに胎盤でエストリオールに転換されて母体末梢血と尿中に排泄されたものである.また,胎盤のシンシチウム細胞由来のヒト胎盤ラクトーゲン(hPL)も胎盤機能検査として利用されている.
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