Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
胎盤―胎盤機能と胎児発育
Human placenta: placental function and fetal growth
森山 郁子
1
,
飯岡 秀晃
1
,
斎藤 滋
1
,
島本 太香子
1
,
一條 元彦
1
Ikuko Moriyama
1
,
Hideaki Iioka
1
,
Shigeru Saito
1
,
Takako Shimamoto
1
,
Motohiko Ichijo
1
1奈良県立医科大学産婦人科学教室
pp.67-76
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900319
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胎盤は母体と胎児間に存在し,妊娠維持や胎児発育に必要な物質を産生し,また一方栄養素の輸送器官である。さらに妊娠は移植免疫学的には一種の同種移植であり,胎盤は母体の直接攻撃を防ぎ,免疫抑制因子の巧妙なバランスの上に成り立っている。
ヒト胎児は分娩までに3,000gに発育し,胎盤自身も発育して500gに達する。胎盤は胎児にとっては呼吸器,腎臓,肝臓,消化器の役割を備え,内分泌産生臓器でもある。この多彩な胎盤の機能を十分発揮するためには,絨毛間腔を絶えず,循環する300mlの母体血流と胎児絨毛組織の発達が重要な役割を果たしている。母児物質交換の場である胎児絨毛上皮細胞の総表面積は15m2もあり,テニスコートの1/2に相当する。
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