特集 産婦人科プリンシプル
産科編
母児相関—胎児・胎盤系
高木 繁夫
1
,
吉田 孝雄
1
Shigeo Takagi
1
,
Takao Yoshida
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.731-735
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204873
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排卵によつて形成される卵巣黄体は,受精着床などの妊娠の成立,維持に与かり,やがてそれの内分泌活動の主役を胎盤に移譲する。かくして,胎盤も妊娠の維持,妊娠時の特異代謝の内因に関連するための活動を積極的に営む一方,胎児の物質代謝,ガス代謝などにも関係をもつ多彩な機能を展開していく。しかし,この胎盤機能をホルモンの生成代謝よりみると必ずしもその機能は完全なものでなく,特にステロイドの生成代謝においては不完全といわざるをえない。したがつて,これを補うために,母体の内分泌器官や胎児の内分泌器官が有機的に結合して1つの機能環を形成し,これによつてその目的を完遂するものとみなされる。すなわち胎盤を中心とした母児相関の立場よりすると,ステロイドホルモンの生成代謝の面において最も強い相関性を認めることになる。そこで本稿では,母児相関の立場より,妊娠時のステロイドホルモン生成代謝の機構を解説し,あわせてそれの調節因子の1つとなる蛋白ホルモンの意義についても概要を述べる。
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