臨床メモ
子宮雑音と胎児・胎盤系機能
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.780
発行日 1974年11月10日
Published Date 1974/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205100
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子宮雑音についてはこれまで子宮血流増大の徴として,妊娠の半確徴または疑徴とされる以外にとりたてて診断上の意義は見出されていなかつた。しかし,妊娠中のエストロゲン産生の増大が子宮内の動脈を拡張し,子宮内血流が増え,この両者から子宮雑音が聴取できる状態が起こるものと考えると,子宮雑音の強さとエストロゲン作用の強さに関係があり得るとの仮説が成り立つ。この際のエストロゲンは胎盤由来のものであり,したがつて子宮雑音が強ければ十分な子宮血流があつて胎盤機能も良好であり,逆に子宮雑音が弱いか聞こえなければ子宮血流が不十分で,胎盤機能も不良であろうと考えることができる。
オーストラリア,メルボルン市クィーン・ヴィクトリア病院のWaltersら(Med.J.Australia 2,851,1973)は上記の仮説を樹て,これを証明すべく次のような実験を行なつた。すなわち,合併症のない妊娠34〜38週の初妊婦について,両耳聴診器を使つて仰臥位の際の種々の位置で子宮雑音を聴取することを1週間隔で3回試み,同時に24時間尿でエストリオールを測定した。
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