Medical Scope
IUGRの胎児と先天異常
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.88
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206585
- 有料閲覧
- 文献概要
IUGRの胎児というのは子宮のなかで著しく発育の悪い,小さい,やせた症例であることは皆さんもよく御存知のはずです。母体に高血圧などの合併症があると多くみられる胎児で,あまり子宮のなかにおきすぎるとときどき胎児死亡となるので,産科での胎児管理の非常に大きなポイントの1つになっています。最近では,分娩前の胎児心拍数モニタリング,すなわち,NSTやCSTで胎児が元気かどうかをしらべて,元気がなくなってきたら早目に生ませるという方針がとられています。これも,もう皆さんのところでやられていることでしょう。
しかし,ここに大きな1つの問題が浮かび上がってきました。それは,IUGRの胎児には,大きな奇形があったり,染色体異常などの先天異常がかなり多く含まれているということがわかってきたからです。胎児の発育が悪いからといって,せっかく,2か月も入院させて帝切で生ませてみたら先天異常児で育たなかったというのでは,あまりに母体が可哀想です。そこで,IUGRの胎児が先天異常児なのかどうか出生前に診断しなくてはならない……という考え方が診療の実際のなかに登場してきました。でも,これは非常にむずかしいことなのです。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.