Medical Scope
母体合併症のないIUGR
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.645
発行日 1979年9月25日
Published Date 1979/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205603
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高血圧合併妊婦例では胎児の発育が悪いという事実は以前からよく知られていました。このような胎児は最近では,IUGR(intrauterine growth retardation子宮内発育遅延児)とよばれているので,私たちもよく注意するようになりました。体重が低く,頭が大きく,躯幹は長く,やせて,皮下脂肪がないという,骨皮スジ衛門のあだなにそっくりな症例です。このIUGRは,放っておくと胎児死亡となったり,分娩中もfetal distressになりやすかったり,出生時には重症な新生児仮死となり,出生後も低血糖などをひき起こし,保育に手のかかる症例です。
このIUGRの新生児は妊娠中毒症の症例に多いのですが,その原因は3つの妊娠中毒症の症状のうち高血圧が最も大きいものだといわれています。その証拠に,高血圧のみ合併した妊婦では,IUGRの程度は非常にひどくなります。
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