産婦人科医療--明日への展開 病態生理の新しい理解
Ⅱ.産科篇
胎児発育不全(IUGR)
荒木 勤
1
Tsutomu Araki
1
1日本医科大学第1産婦人科教室
pp.871-874
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206910
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IUGRとはintrauterine growth retardationの略語であるから,子宮内での胎児がその発育において障害されている状態を示しているものと解釈される。したがって,IUGRといえば産科的な,しかも胎児の病態を示す言葉であると考えられる。しかし,子宮内生活を営む胎児の病態像を直接把握することは大変困難なことといわざるを得ない。低体重児として出生してきた症例を選んでretrospectiveに検討することによって,子宮内の胎児の病態像を再認識するに過ぎない。
IUGRの原因を母体因子,子宮因子,胎盤・臍帯因子および胎児因子に分けて疾患別にみてみると,表1にあるようなさまざまな疾患が浮き彫りにされてくる。このなかでもIUGRの原因として子宮因子のなかの子宮胎盤血流量の低下が最も大きな比重を占めている。
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