臨床研修セミナー 胎児仮死
IUGRと胎児仮死
荒木 勤
1
,
岩崎 卓爾
1
,
進 純郎
1
Tsutomu Araki
1
1日本医科大学産婦人科学教室
pp.84-90
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904823
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IUGR(intrauterine growth retardation,子宮内胎児発育遅延)は,1961年Warkanyら1)によってはじめて提唱された概念である。現在,日産婦学会用語委員会では「何らかの原因で子宮内の胎児の発育が遅延,あるいは停止するため,妊娠期間に相当しない児の発育状態が見られる場合」と定義されている。具体的には胎児発育曲線上の下限(Lubchencoの曲線では10パーセンタイル,船川や仁志田の曲線では−1.5SD)以下の児体重を示すものをいう。このようなIUGRの胎児では常に胎児予備能が低下している。また胎盤の絨毛間の血液流量も減少し,母児間の酸素運搬能や栄養素の母体よりの移行は慢性的に障害された状態におかれている。したがってIUGRでは妊娠中および分娩中に胎児仮死となる率は高い。
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