明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎盤
Topics
胎盤蛋白
伊東 雅純
1
,
西山 幸男
1
,
杉山 陽一
1
Masazumi Itoh
1
1三重大学医学部産科婦人科学教室
pp.858-860
発行日 1984年11月10日
Published Date 1984/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207084
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胎盤蛋白(placental protein)は大きく分けて主に妊婦血清中に分泌される妊娠性蛋白(pregnancy protein)1)と,胎盤組織を形成する胎盤組織蛋白(placental tissueprotein)とに分けることが出来る。このうち妊娠性蛋白は便宜的に妊娠時にのみ血中に出現する胎盤由来の妊娠特異蛋白(pregnancy-specific protein)と,非妊娠時にも存在する蛋白が妊娠という生理的変化に伴って胎盤を含めた種々の臓器でその産生が増加する妊娠関連蛋白(pregnancy-associated protein)2)とに分類される。一方,胎盤組織蛋白はBohnにより胎盤より抽出精製定性された蛋白が17種類(pp1—pp17)報告されているが,これらの妊婦血清中への流出は通常1mg/1以下とされている。
また,胎盤蛋白を作用面から分類すると,表1のように母体へ働く内分泌系,酵素系,代謝系などのgroup 1と,胎盤付近に作用する免疫系,凝固線溶系などのgroup 2に分けて考えることが出来る3)。さらに,これら蛋白は電気泳動,分子量の面でも血漿蛋白と同様に幅広い分布をもっている。
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