研究・調査・報告
産後の乳房に多い乳管の流通障害
森田 正
1
1岐阜県立岐阜盲学校理療科
pp.138-141
発行日 1984年2月25日
Published Date 1984/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206400
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はじめに
産後の乳房は,乳管の流通障害から起こる問題が多く,この時期の乳房の手当は,乳管の開通促進に重点を置いたものでなくてはならないと常々思っている。しかし臨床を通じて接する産婦たちの多くは,今だに乳房がしこった場合は,熱い蒸しタオルを当て,乳体部のしこりを揉むのが最良の手当だと思い込んでいる。そしていたずらに苦痛を増しているのである。これは私をも含めて,産婦を指導する者の責任だと思う。
医学的・心理学的にみて,母乳栄養が最良であることは周知のところである。しかし,母乳栄養を成功させるためには,産後の乳房の手当と,授乳が適切に行なわれなければならない。そしてこのことにもっとも力あるのは,産科医や看護婦ではなく,本誌の読者すなわち,助産婦さん方だと思う。私は今一度,アンケート調査を通じて知り得た,産後の乳房の実態を紹介しつつ,乳管の流通障害除去が,いかに大切であるかを述べてみたいと思う。
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