特集 病院と「くすり」
医薬品流通の表と裏
高田 勇一
Yuichi TAKADA
pp.575-579
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208346
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医薬品流通の実態
医療用医薬品については,市場の混乱や取り引きの不明朗さが,各方面から批判されているが,一方,流通の当事者である薬業界,医療界の中にも,それぞれ強い不満がある.このことは,流通混乱の原因が単に業界の古い体質によるばかりでなく,制度的な影響の大きいことを示している.現に,医療用医薬品の"流通問題"がクローズアップされてきたのは,国民皆保険が達成(昭和36年)された後,昭和40年代に入ってからである.
医薬品を医療保険制度に結びつけているのが,薬価基準制度であり,薬価基準のあり方によって,医薬品流通のあり方も規定されてくる面が強いと言える.ただ,薬価基準の問題については別に取り上げることになっているので,ここでは,そうした影響の下で,医療用医薬品の流通の実態がどうなっているのか,について取り上げたい.
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