厚生行政を読む
血液の流通
厚生行政研究会
pp.1082-1083
発行日 1989年10月1日
Published Date 1989/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209716
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はじめに
本年6月,「輸血療法の適正化に関する検討会」の報告書が発表され,9月には「新血液事業推進検討委員会」の第一次報告が発表された.血液をめぐる社会情勢は大きな転換期を迎えつつあるようである.医療機関が血液を治療に用いたい場合,日赤が供給する血液製剤を用いる方法,民間企業が販売する血漿分画製剤を用いる方法,院内で採血した血液を用いる方法の三つがあるが,これらに共通していえることは,原料はすべて人間の血液であることである.日赤が供給する血液製剤は国内の献血血液由来であり,民間企業の血液製剤の大部分は国外の血液由来である.血液は人工的に造ることができないものであるので,その利用に当たっては慎重を期すべきところであるが,通常の医薬品感覚で比較的容易に入手できていることから臨床現場では血液の流通機構の特殊性まで考慮されることはあまりなく,その結果,いささか緊張感に欠ける使用実態がうかがわれるようである.
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