My Point of View
なぜ,女性の健康が婦人問題になるのか—米国での横浜市婦人問題海外セミナーに参加して
氷坂 禮子
1
1社会保険相模野病院
pp.1060-1065
発行日 1983年12月25日
Published Date 1983/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206365
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護協会本部主催による助産婦職能定数小委員として,昭和56年9月より58年3月まで,毎月1回,看護協会本部で会合に出席しているうちに,次のような疑問がおきた。
医療は治療から予防へとその守備範囲を広げつつあり,一方,時代的背景としては核家族化や人口の高齢化が進むなかで,在宅医療や訪問看護といったきめ細かなケアが求められてきている。近年になってプライマリー・ケアという言葉が脚光を浴びているのはこのような状況を抜きにしては考えられない。しかし,日本の母子保健の分野でプライマリー・ケアを担ってきた助産婦の存在が,逆に薄れていく傾向にあるのはなぜだろうか。このままでは,長年にわたって先人が築いてきた最も伝統的な,女性による女性のための誇り高い職業が消えることになる。そうなれば,助産婦自身だけではなく,女性全体の問題としても,また社会全体の問題としても大きな損失である。まず何よりも私たち助産婦が真剣に考え,かつ行動しなければ大変なことになると,大いなる危機感を抱いていたのである。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.