誌上セミナー 東京看護学セミナー収録・7
婦人と平和の問題
磯野 富士子
1
1前日本女子大
pp.39-42
発行日 1966年9月1日
Published Date 1966/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912867
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●ナイチンゲールの生き方に感激
私は人生で,最初に思った将来の希望は看護婦さんになるということでした。ナイチンゲールの話を読んでたいへん感激しました。人形に包帯を巻いたりしました。ところがだんだん大きくなって気がついてみると,人形とちがって人間は切れば血が出ることに思い至りました。とても私にはできないと思い,次に幼稚園の先生になろうと思ったわけです。とにかく人生の最初に看護婦さんになりたかったわけです。途中でイヤになったのでなく,とても私には勇気がないので方針を変えたわけです。ですからいまだに看護とか医学に携っている方に対して非常な尊敬と劣等感のようなものを持っています。
ただ,その後,英国のリバプールへ留学して,1年ばかりの間にナイチンゲールの伝記を読んで,それまで知らなかったナイチンゲールについて改めて感激を深くしました。もちろんご承知と思いますが,とかく日本では,ナイチンゲール精神というと,自分を捨てて博愛の精神に徹することだと考えがちです。
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