連載 おんなの視座
婦人労働とパートの問題
水戸 洋子
1
1保育問題研究会
pp.57
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204438
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今日婦人政策,婦人労働問題を検討する時,見逃すことのできない問題は婦人のパート,臨時工化という現象だろうと思います。前号でふれた教員の育児休暇法案にしても,一方では専門職といわれる教員には「育児休暇制度」,給与引上げや海外渡航などの特権ともいうべきものを与え(このこと自身,教育労働者を「聖職者」に仕立てあげようとするものですが),他方その代替要員として文部省はこの3月までに1万人にものぼる大量の非常勤講師を配置して,教育労働者間に身分的差別,分断をしこうとしているわけです。日教組婦人部がいくら「婦人の長く働く権利」だと主張しても,それは圧倒的なパート層の問題をぬきにし,切り捨てた上での「特殊利害」でしかないことは明らかでしょう。
このことひとつをみても,今日婦人パート問題はこれまでの労働組合運動,組合婦人部運動,ひいては女性解放運動の再検討をせまっているといえるでしょう。
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